OSSにコミットし始めて、とてもいい感じのSpeeeさんに取材してきました!! 後編
前回からの続き
前回は、Speeeさんが企業としてOSS開発に取り組みはじめて、最初は社内も戸惑ったけど、外部のOSS開発専門家の力を積極的に活かして、開発も活発になり、アウトプットが以前より増えました、というお話でした。
今回はそのOSS開発が活発になって、HRにどのような効果があったのか、というお話です!!!
取材に応じて頂いたお二方
- エンジニア組織推進室
中野 賀奈さん
(インタビュアー:広瀬)
OSS開発にコミットすると採用に効いた!!
HR的には "OSS開発にも積極的に取り組んでます!" というと返信率が上がった!!
ーーでは、どちらかエンジニア中心のお話から変えて、企業としてOSS開発にコミットすることで、HR的によいことはありましたか?
中野 単純にブログ更新やOSSのコミットが増えたので、エンジニア向けのPRとして出せる引き出しが増えました。
あとはHRの実務でも効果があって、採用活動でスカウトを送るのですが、会社のサポートのもとOSS開発が出来るということで、OSS開発に興味がある人のスカウトの返信率が上がってますね
ーーそれはだいぶ業務負担が軽くなりますね!! あるHR担当に伺うと、朝から晩までスカウトしてるという話も伺いますし
中野 OSS開発におけるエンジニアへのサポートも変わってきて、前はオンラインでのサポートがメインだったのですが、それでは遠慮するメンバーもいたので、外部のOSS開発専門家にラウンジにお越しいただき、オフラインでもお会いできるようになって、気軽に相談できるようになりました
“speee” というキーワードで 50 ブクマ以上ついた記事の数が2年で4倍
ーーHRもハッピーですね!! で、実は私も取材前に、はてなブックマークで "speee" というキーワードで50ブクマ以上ついている記事がどれだけあるか、調べたんです
一同 へーーー
ーーはい、で、結果は、
- 2014年度(2014/04/01 ~ 2015/03/31)は ゼロ、
- 2015年度(2015/04/01 ~ 2016/03/31)は 7、
- 2016年度(2016/04/01 ~ 2017/03/31)は 18、
- 2017年度(2016/04/01 ~ 2017/10/13)は 27、
と年々に上がってたんです!!
一同 (拍手) いいペース!!!
畑中 書いてるだけじゃないぞ、というのが出ていいですね
中野 質・量ともにいい感じです!!
ーー結構、50ブクマ以上つく記事はあまり無いので、いいですね~
中野 実は100ブクマ以上つくと、インセンティブ、というか豪華ランチに招待されるんです。井原さんに招待されるので、 "イハランチ" と呼ばれています
ーーイハランチ! いいっすね
畑中 イハランチ、いいですよ。私はジョエル・ロブションに行ってきました!!
ーーわー、ジョエル・ロブション、眺めるものだと思ってました(笑)
畑中 六本木ヒルズにあるジョエル・ロブションでランチに行ってきました(笑) まさか行けるとは思ってなかったのですが
HRもエンジニアの世界に飛び込む!!
HRも週1回勉強会に参加することを8ヶ月継続!!
ーーで、HRの中野さんにぜひ聞いてみたかったのが、先日行われたRubyKaigi (筆者注:国内最大のRubyカンファレンス) でHRの方々が参加しているように見受けました
中野 そうですね。参加していました
ーー技術カンファレンスにHR担当が参加する、というのは一般的になったのでしょうか?
中野 力を入れている企業はどんどんそうなっているな、とは思うのですが、一般的かというと、まだ少ないと思います
ーーとなると、行こうというキッカケは何かあったのですか?
中野 私が所属するエンジニア組織推進室というのは、エンジニア採用や広報、組織づくりがミッションなので、エンジニアについて知る為に行ってみようと思ったのは自然な流れでした
ーーなるほど、部署のミッションなんですね。そのエンジニア組織推進室は、どういう経緯で作られたんですか?
中野 私がちょうど入社したぐらいで立ち上がった組織で、エンジニア採用をもっと強化していこう、という方針が掲げられていました。
ただ、その前にまずエンジニアの方々のSpeeeの認知度を高めなければならない、となり、高めるためにはどうするのか、ということで、先程のブログの更新であったり、OSS開発推進であったり、イベントに出展したり、主催したりと、役割が広がっていきました
ーー実際、エンジニア向けのカンファレンスやイベントって、めっちゃ独特じゃないですか。馴染めました?
中野 最初は衝撃を受けたんですが、勉強会に1ヶ月13回行ったこともあって、、、
ーーえ、、、1ヶ月13回?
中野 自社の会場で開催されているものだけじゃなく、他の会場にも行って、イベント運営の勉強として行ってました。で、それを自社開催にも取り入れようとしていました。
逆に、今は一般女性向けのイベントに参加しても違和感でしかないですね (笑)
ーー逆に(笑)
中野 エンジニアの方々の独特の雰囲気とかが普通です(笑)
ーーとは言え、めっちゃ独特なので、最初、抵抗感とか無かったですか? 私は初めてエンジニアの勉強会に参加したとき、抵抗感しかなくて
中野 確かに、申し訳なさみたいなものはあって、怒られないかな、と思いながら、懇親会とかにも参加して、技術をかなり教えてもらったりと、、、
畑中 え?
ーーえ、え、え、懇親会にも参加していたんですか? 結構、誰と何きっかけで話そうとか、めっちゃハードル高いのに?
中野 「イベントを今後、開催したり運営するので、テーマの技術とか教えてもらえないですか?」 というのを懇親会で質問してましたね
畑中 中野さん、その辺、ちゃんと上手くコミュニケーションできそうですね
ーーつ、強い!!
中野 そうですね、強かったかも知れません(笑)
HRが勉強会に参加しても楽しい!!
ーー勉強会やイベントに参加されていて楽しいですか?
中野 実際、分かる単語が増えていくし、プロダクト開発よりの話とかは聞いていて面白いですね。なので、今は勉強会に参加して、知らない用語や動向とかを聞きに行く、という感覚です。
あとは、言語やコミュニティとかによって、来てるエンジニアの方々の雰囲気とか違いも分かって、楽しいですね
ーー勉強会に行きはじめて、どれぐらいで今のような知識になったのですか?
中野 1ヶ月13回というのはその月だけでしたけど、週1回はコンスタントに参加しています。8ヶ月はそのペースを続けました。
最近は自社で開催されるものも増えましたので
ーーでは、今ではエンジニアっぽく markdwon (筆者注:簡単な記法で文章を構造化して書けるマークアップ言語) とかも使ってとか?
中野 実際、社内の採用管理ツールも内製していて、それをGitHubで運用しているので、issue も markdwon で書いたりしています!!
畑中 それはスゴイですね
経営トップもビジネス職もHRも markdown で書く文化に
ーーマジですか。。ウチの社内では浸透しなかったのに。。
畑中 実際、社内では、ほぼみんな markdown で書けるはずですよ。社内的にもKibela (筆者注:markdownで書くのがデフォルト) を全面的に使っていますし
ーーえーー。。
畑中 実際、代表が何かのプレゼンのときに、markdown で発表したことがあって、そこがきっかけになって、みんな markdown で書くようになりましたね
ーートップ自ら。。カッコイイ
畑中 それ以降は議事録とかもそれで書かれるようになって、組織横断的なドキュメントとかも markdown とかで書かれていたりして、見やすくなったのはよいですね
中野 結構、ビジネス側もアンテナが高い人が多くて、何それ、と関心を持つ人が多く、聞いてやってみて、というのが多いですね
畑中 もちろんkibelaで全社共有しているので、営業の人とかがプレゼンモードで発表してたりします
ーーそれも格好いい。。
ビジネスにも好影響
ーー実際、OSSをはじめとしたエンジニア文化の普及で、ビジネス側には影響がありましたか?
中野 効率化とかを考えるようになったのが一番、身近な例ですね。何回も同じことをやっていると、これ自動化出来ないんだっけ? という発想がよく出てきました。
例えば、Slackのインテグレーションを使って、簡単なスクリプトを書いて自動連携をやるとか、ちょっとしたハックもやるメンバーも出てきました
ーーおおー、それはスゴイ! そうなるとエンジニアも働きやすくなってきてますか?
畑中 そうですね
今までだとエンジニアは技術全般を担うことが多かったのですが、最近ではSQLやBIツールなどをエンジニア以外の方が使用されるようになりました。
それによりエンジニアはよりプロダクトの開発に集中できるようになりました。
"OSSやるぞ!!" エイヤではなく、継続することが大事
ーーでは、これからOSS開発に取り組もう、としている企業の方々に、こうした方がいいよ、こういうことは気をつけたほうがいいよ、とかあれば、お願いします!!
畑中 やっぱり、"OSSやるぞ、じゃ、よろしく!!" というトップの方向だけでは、現場は何から手を付けるか戸惑って、進まないと思っています。
そうではなく、自分が普段使っているライブラリの改善やドキュメントの修正とかから入るほうが、より取っ付き易いし、進めやすいと思ってます
ーー逆に、気をつけたほうが良い点は?
畑中 やっぱりライセンスとか、ちゃんと分かってないと問題になります。
そのOSS開発への参加方法やライセンスとか両方を学べるのが、OSS Gateのワークショップなので、一般向けのものに参加してみるだけでもよいと思います。
あと、OSS特有の文化のようなところもあって、それもスグに聞けますし
ーーありがとうございます! では、HR目線では?
中野 覚悟をもって取り組む、ということが重要だと思っています。
HRにとっては、一般的ではない特殊な領域に飛び込む、ということになるので、いきなりそこで高いハードルを感じてしまうと思います。
そこで、持続的にやれる目標を立てて、継続していくことが重要で、実際、それを積み重ねたお陰で、SpeeeはOSS開発に取り組んでます、技術力向上に取り組んでいます、と自信を持って言えるようになりました
ーーとても良いお話、ありがとうございます!! では、最後に告知的なものがあれば
中野 そうですね、やはり Speee はRuby/Railsにコミットしている企業なので、それを使ったサーバーサイドの開発や、Rubyのエコシステムにコミットしたいエンジニアのご応募をお待ちしています!!
また、興味を持たれた方は、Speee DEVELOPER BLOG をご覧いただいて、ぜひ雰囲気や取り組んでいる技術や解決している問題を知ってもらいたいです!!
ーー今日は貴重なお話、ありがとうございました!!!
一同 ありがとうございました!!
取材してみて
エンジニアが入ってみたい、と思えるような企業、文化にするということが、一番時間が掛かるけど、一番効いて、その波及効果でビジネス側にもいい影響をもたらす、ということがわかりました。
(弊社の採用もでやっていくぞい!)
そのキッカケとして、OSS開発に参加することはとても良い、と言えそうです。
その一方で、OSS開発やろうというかけ声だけでは、なかなか難しいことも分かりました。
それを乗り越える上でも、継続が大事ということがわかったので、例えば、プレミアムフライデーで社内でOSSに関するワークショップを定例開催する、というのも良いかもしれませんね。
(実際、OSS Gateワークショップは奇数月の最終土曜日と開催日が決まっています)
また、テクノロジーに経営資源を集中するという判断をした経営陣や、新しいもの好きなビジネス側の方々の技術への取り組みが、エンジニアのハッピーにもつながっていて、Happy Hiring!! という観点で、理想的な姿だなぁと思えるインタビューでした。
Speeeさん、畑中さん、中野さん、ありがとうございました!!!!!