Happy Hiring !!

ハッピーなエンジニア採用について書いてます

海外エンジニア採用でトップランナーの楽天さんを取材してきました! 後編

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前回からの続き

前回は楽天さんが海外エンジニア採用をはじめるキッカケや、実際、どのような採用活動をしているのかに加え、受け入れのときの方針のお話でした。
happy-hiring.hatenablog.com

今回は海外エンジニア採用でのベンダー選びや学生の活動、そこから見えてくる日本との違い、そして採用方針の大胆な変更があったことを、お届けします!!

取材に応じて頂いたHRご担当

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  • 楽天株式会社 グローバル人事部 採用推進課 エンジニア採用グループ ヴァイスマネージャー
    小山 浩平 さん

では、早速、インタビュー内容をお届けします!! (インタビュアー:広瀬)

海外の就活と比べて、ここが変な日本の就活

海外採用を始めたときの学生の集め方

ーーちょっと前に戻るのですが、プロモーションではキャリアセンターに飛び込んで、大学で学生を紹介して下さい、とお願いするような感じですか?

小山 基本はケースバイケースで、欧米の場合、キャリアセンター主催のキャリアフェアというのがあるので、そこに参加するよう案内されたり、自社説明会をやりたいので、というと会場を貸してくれたりと、色々です。

あと、海外の場合、大学のキャリアセンターがしっかりしていて、そこが全く日本と違います。

なかでも、インドや中国の場合は、大学とのコネクションにかなりの労力が割かれるので、極力、現地に詳しいエージェントさんにお願いするようにしています。

とはいえ、事前のメールではスムーズに進んでるように見えても、いざ現地にいってみると、会場すら予約されてなかった、ということも何度かありました。

ーーうわー。。。ツラい。。。ちなみに、そういったベンダーやエージェントの選定はどのようにされているのですか?

小山 色々試してみて、今はある程度決まってきました。もちろん、そこまでに色々と失敗がありましたが(笑)。
国内採用以上に、僕たちもわかっていない事が多いので、信頼できるベンダーさんやエージェントさんを選ぶということは非常に重要だと思います。

ーーやってみないとわからない部分なんですね

小山 そうです。あと会社単位ではなく、担当レベルでも結構、差がありますね。

日本の就活は特殊

ーー現地のベンダーならではの採用サービスなどありましたか?

小山 先程もありましたが、結局、アメリカがどう、シンガポールがどう、ではなく海外の就活は大学のキャリアセンターが中心なんです。

その意味では、日本が特殊なんです。就活の仕組みもそうですし、時期もそうです。

そもそも、本来、採用のステークホルダーには、学生-大学-企業 だけで決めればよいのに、そこで経済団体や就職ベンダーが決めているのが特殊な要因になっていると思っています。

ーーということは、海外の学生たちは数を絞った就職活動をしているのでしょうか?

小山 数という点では圧倒的に違います。 それは、終身雇用ではない、というところも背景としてあります。
「2~3年ごとにキャリアアップ」「合わなかったら、次」という意識があるように感じます。

ーーなるほど、ジョブホップすることが前提ということですね

小山 あと、、これはぜひ書いていただきたいことなんですが、 "就活で嘘をつくのは日本人だけ" です(笑)。

ーーへーーー、そうなんですね。海外の人はオファー出して、コミットしたら辞退しない?

小山 そこに至るまでに、「この会社を受けているからここまで待ってくれ」 「こういう理由で給料はこれだけ欲しいから上げてくれ」 というディスカッションはありますが、基本はそうです。

日本人だけが、「御社だけが第一志望です。必ず入社します」 と言っておきながら、そこから手のひらを返したように、電話で 「辞退します (ガシャン)」 というのは (笑)

Rakuten Way な "通年採用"

入社時期だけではなく、職種、給与も変わる

ーーなるほど。海外の場合、新卒でも給与のことを要求してくるんですね。。。ん?、ということは、個々のスキルによって給与も変わるんです?

小山 はい、完全にそうです。
個々人のスキルによって、楽天ではTECH職種だけですが、給料は変わります。

ーーえ、そうでしたっけ?

小山 一括採用を止めた時点で、そうなりました。

ーーあらら、、では、私は "一括採用から通年採用" というのをだいぶ勘違いしていましたね。。

小山 そうでうすね。この通年採用にする、ということが理解されてないケースもあるんです。。ちなみに、どういった内容かご存知ですか?

ーー一括で入社時期が決めっていて、入社することを止める、ということですよね?

小山 それもあります。
もう二つあり、その一つがポジション別採用です。
一括採用では、入社して後に、研修期間を経て配属が決まっていくのですが、入社前にポジション別に採用する、というものです。

整理すると、通年採用に変わって、具体的に変わった点は3点あります。

  • 入社時期はいつでも
  • ポジションを選択して応募
  • 給与は一人ひとりのスキルに応じて変動

この3つです。

ーーということは選考基準も部署別に変わる、ということですね?

小山 そうです。
それも含めて、部署の開発担当役員がオファーまで出しています。

ーーなるほど! となると、どういった経緯でそうなったのでしょうか?

小山 2014年に採用比率の87%が外国籍になったときに、今までの一括採用では受け入れが困難になってきました。

例えば、ある海外新卒エンジニアが卒業後、1年近く待ってから、入社する、という事態が起こりました。 また入社後、どんなポジションにつくのか不透明だと、採用で競り負ける、ということも発生してきました。

それで一括採用を止めて、通年採用に切り替えました。

グローバル採用とエンジニア採用は分けて考えたほうがよい

日本国内のエンジニア採用はレッドオーシャン

ーーでは、質問を変えて、小山さんの観測範囲でOKなのですが、エンジニア採用を海外に変えて、これはよかったなぁと思うようなことはありましたか?

小山 そうですね、、、
個人的には、全く英語が使えなかったところから始めて、「グローバルにエンジニアを採用するとは」 みたいな話ができるようになるほど視野が広がったのは本当にありがたかったです (笑)。

HRの観点では、結構、皆さん海外採用は「難しい、コストが高い」と思われがちなのですが、実は真逆で「日本よりも採用しやすく、コストも安い」という現状があります。ここは声を大にして伝えたいですね。

最近では、ベトナム、韓国などでは英語もできて、日本語が出来る人材も増えています。

その一方で、国内のエンジニア採用はレッドオーシャンなので、その中で各社、各ベンダーが工夫しすぎて、何をやっているのか分かりにくい状況です。

ーー確かにトリッキーにはなってきています。

小山 海外採用の場合、ブルーオーシャンで、紹介したようなパッケージで、どストレートな採用のやり方ができます。

採用活動もプロジェクトベースに変わった

小山 また、日本だけで採用活動をやっていたとき(筆者注: 新卒採用)は、接触から入社まで2年掛かりでやるもんだ、という先入観があったのですが、海外採用だとHRの活動も実質数か月で終わります。

このため、プロジェクトベースで活動できるので、成否もわかりやすいですし、モチベーションも維持しやすいです。あと、採用の捉え方が変わりました。

ーーなるほど! それはどのように変わったのですか?

小山 先程の通り、プロジェクトベースになったことで、採用活動はプロジェクトマネジメントだと考えるようになりました。
プロジェクト同様に変化が激しく、その変化を見通しながら、さらに現地で採用活動以外の事案にも臨機応変に対応しなければならないことがあります。
それだけに、プロジェクト終了後にもノウハウを溜めていっています。

ーーなるほどー。例えば、どんなノウハウがあるのですか?

小山 そうですね、、例えば現地で洪水が発生したらどうするとか、後は細かいものではインドが一番寒い、とか(笑)

ーー(笑) それは詳しく聞いてみたいです。

小山 皆さん、インド出張というと、暑いというイメージがあるのでTシャツ短パンとかで行くじゃないですか。でも面接とかは一日中ホテルでやるので、クーラーがガンガンに効いて、クソ寒いんです。
なので、インドに出張に行くときは「ジャケットと長いパンツを持っていってください」とか。

あとは採用救急箱とか。
海外出張時はやはり体調不調が一番の敵なので、暑い地域から寒い地域まで対応できるように、一通り揃えていて、歯磨きも出来ない、お風呂に入れない、という環境もあるので、救急箱には体拭きシートとかブレスケアも一杯入ってます。

グローバル採用とエンジニア採用とを一緒に取り組むこと

ーーでは、終わりに近付いていますが、海外エンジニア採用に取り組むHR、企業にアドバイスがあればお願いします!

小山 海外エンジニア採用って、厳密に言うと、グローバル採用とエンジニア採用と2つの要素が含まれています。

グローバル採用というのは、社内の仕組み、例えば、ビザとか食べ物や宗教など、そういったところから受け入れを考慮して進めていくということを指しています。

一方でエンジニア採用は、市場価値やスキルなど基準を持っておく、ということが必要です。

ゴチャッとやってしまうと、プロジェクトが失敗することも多いので、分けて考えたほうがよいです。

楽天は日本語が話せるエンジニアも募集中 !!!

ーーでは、最後に言いたいことや、宣伝があれば

小山 今までの話を全否定するような話ですが (笑)、実際、日本語が必要なポジションもたくさんあるので、海外籍の方だけでなく日本人エンジニアも絶賛募集中です !!!
また、こんなグローバルな採用に関わってみたいリクルーターの方からのご応募もお待ちしています!

corp.rakuten.co.jp

ーーでは、今日は貴重な取材、ありがとうございました!!!

小山 ありがとうございました!!!

ふりかえり

今回は19のエンジニア募集チャネルの中には入れていなかった、新しいチャネル、海外採用について、楽天さんの取り組みを取材しました。

自社の環境、先の見通しから果断に決断し進めていきながら、出て来る問題に対して、柔軟に解決し、次に繋げている、というところがとても印象的でした。
プロジェクトで採用を考える、というのは、まさしくその通りですね。

その一方、先駆者ならではの試行錯誤やノウハウをこれだけ公開する、ということはあまり無く、そのご厚意に感激しながら、やはり楽天さんの底に流れているのは、OSSハッカー文化なのかも知れません。

小山さん、楽天さん、本当にありがとうございました!!